東日本大震災から10年。
地震発生当時、3331 Arts Chiyodaは近隣住民や帰宅困難者など多くの方々の避難場所となりました。そして、震災直後から3331 Arts Chiyodaを拠点に、震災復興に向け創造的に活動する人のプラットフォーム「わわプロジェクト」が始まり、数多くの復興プロジェクト支援や、震災を受け直面する課題解決へのアクションをつなげる場づくりを行ってきました。

さまざまな活動やクリエイティビティのプラットフォームの役割を果たてきた3331 Arts Chiyoda。東日本大震災から10年が経つ今、表現方法のひとつである「モノづくり」を通して被災地で活動を続ける団体に焦点を当て、そこで生み出された商品とその背景にある取り組みやストーリーをご紹介します。
 
【 會空 (あいくー) 】


「会津から故郷・大熊町まで続く空」
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「會空(あいくー)」

いつかふるさとへ帰ることを願い、会津への感謝を込め、
ひと針ひと針想いを込めたものづくり。


「會空(あいくー)」は大熊町から会津若松市に避難し、会津木綿に魅せられ小物作りをしている女性ユニットです。

代表の庄子ヤウ子さんは東日本大震災による原子力発電所の事故で、町民の約96%が住んでいた地域が帰宅困難区域となった大熊町出身でした。震災直後、町から避難し暮らしがようやく落ち着いてきた頃、なにもすることがない辛さや虚しさが襲ってきたとき「なにかをしなければ」と思っていたところに出会い魅せられた伝統工芸品の会津木綿。庄子さんはかつて大熊町でニットデザイナーをしていたこともあり、自分たちで会津木綿を使ったオリジナルの商品を作っていこうと「會空」を立ち上げました。 

そして、現在暮らす会津とふるさと大熊町は同じ「空」で繋がっているという思いを込めて、大熊町のマスコット「おおちゃん・くうちゃん」をモデルにデザインされた黒いクマの"あいくー"が生まれました。

すべてひとつひとつ丁寧に作られた"あいくー"は、世界にひとつだけのあなたのあいぼうです。

 


"あいくー"は「大熊町を忘れない、忘れないで」のメッセンジャーでもあります。

二本脚で自立するように作られている"あいくー"は、前を向いてしっかりと立ち、歩んでいこうという想いが感じられ一緒にいるだけで気持ちをポジティブにしてくれるようなぬいぐるみです。

今では、多くのひとびとに愛される"あいくー"。
さまざまなメディアにも取り上げられ、海外にまで進出してきました。「會空」の活動は次第に復興を超えて、自立した地域ビジネスにまで成長した活動としてもは注目をあつめています。

■「あいくー」一覧はコチラから

會空(あいくー)について

 

【 SIOME (シオメ) 】
 
福島の記憶に残る生業をつくる
"SIOME" は、被災地復興プロジェクト「ふくしまオーガニックコットンプロジェクト」で栽培した綿花を使用したオーガニックコットン製品のブランドです。

ふくしまオーガニックコットンプロジェクトとは、2012年よりNPO法人ザ・ピープルによってスタートした綿花栽培による被災地復興プロジェクトです。東日本大震災によって、福島の農業(農家)は壊滅的なダメージを受けました。そんな中、畑から生まれ、塩害に強く、土壌の放射能移行係数が低い「綿花」と言う作物にスポットをあて、専門家の指導のもと、地元の農家さんとプロジェクトメンバーが主体となり、2012年の春からいわき市で栽培がスタートしました。

そして、収穫された綿花を原料としたコットン製品開発がすすんでいき、2019年には、製品の企画・販売に長年携わった 酒井悠太(さかいゆうた)さんが、さまざまな信念と思いのもと、地元の仲間とともに「株式会社 起点 (キテン)」を立ち上げ、オリジナルブランドとして "SIOME" の展開をスタートさせました。
 

"SIOME"では「循環と機能美」をコンセプトにタオルや手ぬぐい、マスクを制作し全国へ発信しています。

2012年から福島で栽培が始まった在来種の備中茶綿は、一般的な白綿ではなく、茶色い小粒な品種です。茶綿を混紡した糸は、ほのかな生成り色をした優しい色合いが特徴で、製品の生成り色は、染めているのではなく、綿花の色がそのまま表れている自然な色味になっています。日本の綿花栽培は、およそ500年以上前から盛んに行われ、私たちが育てている種も悠久の時を超えて受け継がれてきた貴重な品種です。

■「SIOME」商品一覧はコチラから

株式会社 起点(キテン)について
 

【 MUSUBU 】
 
2012年春に夜の森で咲いた、美しい桜


「桜の森 夜の森」プロジェクト
東日本大震災の原発事故により立ち入りが難しくなった福島県双葉郡富岡町(現在一部を除く立ち入り可)にある桜の名所「夜の森」の桜をあらゆる表現で届けるプロジェクトです。富岡町出身の母親や親戚たちに“桜を見せたい”というMUSUBU代表の宮本英実の思いからスタートし、2012年4月25日、写真家の白井亮氏 (福島県いわき市出身 )と共に、当時警戒区域となっていた夜の森地区に許可を得て入り、無人の同地区にて咲き誇る桜の写真を撮影しました。当初は親類たちに喜んでもらいたいとう思いだけであったが、人がいなくなってしまった町でも、変わらず咲き続ける桜は希望にも見え、この状況を多くの人に見てもらいたいと、写真展も開催しました。

2012年8月、トラックの荷台を展示スペースとして使用した「J-WAVE Heart to Heart 桜の森 夜の森 移動写真展」を、福島県内3地域(郡山市/福島市/いわき市)からはじまり栃木、大阪で開催。2013年には東京・昭島でのトラック展示、豪徳寺のパン屋カフェ"uneclef"でも展示を開催し、夏にはアメリカ・ニューヨークでもトークショーを交えたイベントを行いました。

その後、富岡町の関連施設・企業への写真パネルの寄贈、グッズの売り上げの一部を利用して「いわき万本桜プロジェクト」で桜の植樹を行うなど、形を変えてプロジェクトを継続しています。

プロジェクトについて
 
「桜の森 夜の森」ポストカードセット ¥150(税込)
 



今回は、東日本大震災からの復興活動によって生まれたグッズをご紹介いたしました。

災害や復興に対するさまざまな思いを元に生み出されたモノは、度重なる自然災害からの復興のヒントを与えてくれるだけでなく、現在の私たちの暮らしや生き方に対しても大きな学びを与えてくれます。 さまざまな活動を知るきっかけや、応援するきっかけとなれば幸いです。

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